30 October to 24 December 1997
1997年10月30日(木)-12月24日(水) 10時-18時 土・日休廊
80年代アート・シーンの代名詞でもあるニューペインティングの騎手ディヴィッド・サーレの新作版画展を開催いたします。
ディヴィッド・サーレは来る98年、ヨーロッパでの大回顧展(アムステルダム、ステディリック美術館等)を控えますます注目されています。
「アート・イン・アメリカ」誌の97年9月号に6ページにわたるディヴィッド・サーレのインタヴュー記事が掲載され、ニューペインティングを牽引したサーレの90年代へ移行してからの近作に関心が高まっております。
(株)伊藤忠ギャラリーではディヴィッド・サーレに大阪長堀地下街での日本最大の壁画「クリスタル・リバー」(5メートルX20メートル、油彩、アクリル、キャンバス)をコミッションし、2年間の準備の後今春完成させました。今では日本最大の地下街の顔として地元はもとより、全国から訪れる人々に親しまれております。
今回は手漉き紙にリトグラフ、木版、エッチング、コラージュなどを組み合わせたマルチ技法による6点セットの版画「ハイ・アンド・ロー」を本邦初公開いたします。サーレの特徴でもある80年代以降の混沌とした世相を、ハイ・カルチャーとロー・カルチャーとを合わせたスタイルで的確に描写した力作シリーズ作品でございます。
ディヴィッド・サーレ DAVID SALLE
1952年9月28日アメリカ オクラホマ州生まれ、ニューヨーク在住の45才。
1970年代は3次元のインスタレーション・アートやパフォーマンス(ヴィデオ)・アートがミニマル・アート、コンセプチュアル・アートという名のもとで、禁欲的で観念化されたアートとして主流になっておりましたが、80年代にはいり、絵画の復興を唱えたニューペインティング(新表現主義)現象がアメリカ、ドイツ、イタリアなど世界中で開花いたしました。
ディヴィッド・サーレはこのニューペインティングの騎手としてニューヨークのソーホーを最も活気づかせた作家の一人として脚光を浴びていました。
表現主義の伝統と戦後の複雑な政治状況の系譜上のドイツの新表現主義作家、キーファー、ペンク、ポルケ、バゼリッツ、地中海的な形而上絵画の影響下のイタリアの新表現主義作家、キア、クレメンテ、クッキと比較すると、アメリカの新表現主義作家、サーレ、シュナーベル、ボロフスキーなどはアメリカのポップ・アートという絶大な威力を基礎として築かれたものといえます。テレビ、映画、写真、雑誌など散乱するポップ・イメージや個人的な記憶を積み重ね合わせ、過去と現在、無意識と自意識、実像と虚像を等価値に並置し80年代の享楽的で退廃的な混沌とした世相を的確に表現しております。
今世紀初頭の混沌とした世界を写したドイツ表現主義をなぞらえて命名された新表現主義は、20世紀末を迎え出口のない混迷した世相を代弁する作品として力強く認知されております。サーレはこの中心的作家として現在最も高く評価されている作家であります。
「ハイ・アンド・ロー」 ミクスト・メディア版画作品
1991年にニューヨーク近代美術館で開催された展覧会「ハイ・アンド・ロー」は、洗練されたハイ・カルチャーと大衆的なロー・カルチャーとの関係を総覧した企画展でありました。この企画に感化されたのか、6枚のイメージのタイトルは「ハイ・アンド・ロー」「アップ・アンド・ダウン」「ファスト・アンド・スロー」「ハイ・アンド・ワイド」「ロング・アンド・ハイ」「ロー・アンド・ナロー」と名づけられました。60年代を彷彿される複製されたマス・イメージと個人的な体験を暗示するイメージを混ぜあわせ、実像と虚像とを重ね合わせた表情を作り出すことにサーレの独自性として成功しております。
様々なイメージの重ね合わせと共に、様々な版画技法を駆使した作品でミクスト・メディア版画としての新境地を開拓することにチャレンジしております。
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