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1941年、テキサス生まれ。テキサス大学とブルックリン・プラット・インスティテュート卒業。ヨーロッパで絵画を学んだ後、1960年代半ばにニューヨークに本拠を移す。1968年にはThe
Byrd Hoffman School of Byrdsとして知られる作家集団を形成、ローワーマンハッタンにて活動を開始する。その翌年には「ジグムント・フロイトの生涯」など大規模な舞台をニューヨークにて発表。
1971年、ウィルソンの養子であり、聾唖であるレイモンド・アンドリュースとともに創作したサイレント・オペラ「襲者の視線」で一躍国際的な脚光を浴びる。この後、世界各地で立て続けに代表作を発表し、精力的に活動する。特にフィリップ・グラスとの共作である「浜辺のアインシュタイン
(1976)」は、その名声を不動のものにし、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場をはじめとする多くの劇場で繰り返し上演されている。この頃ヨーロッパを拠点に制作された代表的な作品として、「デス・ディストラクション
& デトロイト (1979)」「デス・ディストラクション & デトロイト Ⅱ (1987)」「ブラック・ライダー (1991)」「アリス (1992)」「タイム・ロッカー
(1996)」等が挙げられる。
1980年代初頭には、野心溢れる作品「市民戦争」を生み出す。1984年のロサンジェルス・オリンピック芸術フェスティバルで中心的な役割を担ったこのプロジェクトは、あらゆる国籍のアーティストの参加により実現したもので、日本を含む世界各地で分散した形で上演されたため、その全体像が一度に概観されることのない、国際的かつ非常にユニークな試みである。
ここ20年間では、そのクリエイティブな才能をオペラの方面でいかんなく発揮し、ミラノ、ニューヨーク、パリ、シカゴなど各地で舞台美術・監督を手がける。特にモーツァルトの「魔笛
(1991)」やプッチーニの「蝶々夫人 (1993-97)」は、揺るぎ無い評価を得ている。また、ローリー・アンダーソン、マーサ・グラハム、マーサ・カニンガム、スーザン・ソンタグ等、多くのアーティストとのコラボレーションも多い。ルー・リードとの共作である「Time
Rocker (1996)」も、絶賛を博した。
主に舞台演出家としての名声を不動のものとするウィルソンだが、その作品は全てファインアートの領域に根差している。彼のドローイング・油彩・彫刻は、既に世界中の美術館やギャラリーで紹介されており、1991年にはボストン美術館、ポンピドゥーセンター、ヒューストン現代美術館等を巡回する大回顧展が行われた。1993年のベニス・ビエンナーレでは、
「記憶 / 喪失」と題する大規模なインスタレーションを行ったのは、記憶に新しい。
毎年夏には、ニューヨーク、ロングアイランドのウォーターミルズセンターに、世界各国の第一線で活躍するアーティストを招聘し、総合的で実験的な美術と演劇の領域を探求し、評価を得ている。
昨年は二度来日し、静岡で「ハムレット」を演出・独演、また、浜松で「蝶々夫人」を上演し、絶賛を浴びた。本年4月末にも静岡での「ハムレット」の再演が決定しており、話題を集めることは必至である。
www.robertwilson.com/ |
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