絵画にとっての20世紀とは、一体どんな時代だったのか。様々な回顧の試みがなされています。印象派がキャンバスに光を取り込み、セザンヌは対象のボリュームを画面に再現しました。ピカソの発見したキュビズムは、今世紀最大、あるいは美術史上最大の快挙と呼べるかもしれません。そして開かれた抽象表現の新しい扉。現代美術の現在は更に表現領域を無限に拡げ進化し続けています。
その絵画の変遷に於いて、世紀末の今、我々は再び「主題の復権」を目撃しています。絵画の表現素材として古くから描き続けられてきた神話、理想郷、物語の世界。しかし大くの美術史上の試みを経て、一度は放棄され見捨てられた主題性は、1980年代にニューペインティングとして美術界を席捲することとなります。再びストーリーがキャンバスに復活し、作家の私的世界がある時はナイーヴに、ある時は無防備に再現されました。
フィギュラティブな表現と、観る者のイマジネーションを駆り立てる奥行きのある世界。アメリカではサーレやシュナーベルやバチェラー等が、イタリアではクレメンテやキア等が、同時にこの方向を指向したことは、時代の求めた絵画の答えであったのでしょう。アーシュワーガーやダナムはポップの系譜を引きながらも、没個の大衆性よりは、むしろ私的な物語を創り出すことを選びました。ステラは複雑で時に不可思議なタイトルを作品に与えることを好んでいます。
これらのペインタリーな作品を生みだした物語作家こそが、今世紀末最後の画家として果たした役割は、大いなるものがあります。伊藤忠ギャラリーでは、2000年を迎えるにあたり、これらのストーリーテラーに光を当て、彼らの描く物語の世界をご紹介致します。