
【アートコラム】百貨店美術部の復権
-美術市場拡大の兆し-
大丸松坂屋百貨店の沢田太郎社長は、7月の時事通信社のインタビューで絵画や工芸などの美術品の年間売上高を現在の100億円弱から将来的に10倍超の1,000億規模に引き上げる意向を明らかにした。
斜陽産業と言われて久しい百貨店にしては驚くべき発言である。まして美術品に関しては30年以上前のバブル崩壊後低迷したままであった。
ただ、バブルの頃に人々が買い漁ったのは、クロード・モネ(Claude Monet)、ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)、フィンセント・ヴァン・ゴッホ(Vincent van Gogh)、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、アメデオ・モディリアニ(Amedeo Modigliani)といった19世紀末から20世紀初頭の巨匠だったのが、今注目されているのは、現代アートである。
村上隆、奈良美智、草間彌生といった大御所はもちろん、若いアーティストまで、幅広く取り引きされている。
なんにしても国内全体で年間3,000億規模という美術市場において百貨店一社で1,000憶に広げてくれるというのは、美術品売買に携わる者として喜ばしい限りである。